名古屋市環境局が7月2日、地下水を活用する「環境井戸」の供用を始めた。
名古屋市によると、新堀川は潮の満ち引きの影響を受けるほか、河川勾配がほとんどないため、河川内で淡水と海水が二層化している。川底には酸素をほとんど含まない海水が滞留し、悪臭や白濁の一因なるなど、水質や景観が以前から課題となっている。市はこれまでもヘドロ除去や雨水滞水池の整備などを進めてきた。その上で、総務局、環境局、緑政土木局、上下水道局による検討会で有識者の意見も踏まえ、2024年3月に「堀川再生の推進に関する今後の浄化施策の方向性」を策定。同方針に位置付けた施策の一つとして、「環境井戸」を導入した。
今回完成したのは、記念橋(名古屋市中区上前津2)、富士見橋(富士見町)、法螺貝橋(昭和区)の3カ所の環境井戸で、既に地下水を導入している舞鶴橋環境井戸広場(千代田1)を合わせ、計4カ所となる。住宅が多く、水質悪化が課題となっている堀留水処理センター近くの上流部に設置した。各所には案内看板も設けた。
環境井戸では、地下約20~35メートルのれき層からくみ上げた地下水を、蛇行や落差を設けた水路に流して酸素を取り込み、川底へ送る。酸素を供給するとともに、水を上下にかき混ぜることで水環境の改善を図る。
4カ所全てに手押しポンプを併設し、災害時の生活用水として利用できるようにした。舞鶴橋環境井戸広場には在来種の植物を植えた広場も整備し、水辺に親しめる空間としている。
地域環境対策課の伊藤英太さんは「水質改善には長い時間がかかると思うが、堀川に人の目が戻ってきたように、新堀川でも、今は川に背中を向けている建物が水辺に向くような街になってほしい。まずは名古屋市の取り組みを知ってもらい、嫌わずに川へ目を向け、興味を持ってもらうことが機運の醸成につながり、水質改善への意識も高まると考えている」と話す。
名古屋市では今後、舞鶴橋で水深の異なる2地点の水質を365日24時間測定し、地下水導入による効果を検証するほか、地下水のくみ上げによる地盤沈下などの影響についても観測を続けるという。