1973(昭和48)年に名古屋市内で創業した書店「メルヘンハウス」の歩みをまとめた書籍「メルヘンハウス 日本で最初の子どもの本専門店」が6月22日、工学図書から発売される。
メルヘンハウス初代店主の三輪哲さん(左)、2代目店主の丈太郎さん(右)
メルヘンハウスは、初代店主の三輪哲さんが千種区朝岡町で創業。1993(平成5)年に同区今池へ移転し、60坪の店内に3万冊の児童書を並べるまでに拡大した。子どもと会話をしながら一人一人に合う本を探すのが同店のスタイル。本の表紙が見える陳列を行い、手に取って読めるよう透明カバーには包まず、先入観で判断されないよう帯は外すなどのこだわりを貫いた。地元で45年間親しまれたが、経営悪化を理由に2018(平成30)年に閉店。2代目の三輪丈太郎さんが「もう一度、子どもたちに本を手渡す場所をつくりたい」と2021年に再オープンした。
哲さんが3年前に79歳で亡くなったことを受け、「父と交流のあった人たちから『メルヘンハウスの三輪哲』としてのエピソードをたくさん聞いた」と丈太郎さん。「父が残してきたことをいろいろな人に知ってもらいたい」という思いから、書籍の刊行を企画した。
同書の第1章では、ウェブサイトで哲さんが執筆していた連載をまとめた。第2章では、それぞれ子どもの本専門店を運営してきた「メリーゴーランド」(三重県)の増田喜昭さん、「クレヨンハウス」(東京都)の岩間建亜さん、哲さんによる過去の鼎談(ていだん)を再録。第3章では、メルヘンハウスを含めた国内外の子どもの本の書店史を、編集者・ライターのほそえさちよさんが紹介。第4章では丈太郎さん自ら、メルヘンハウスに入社し、閉店を経て再オープンさせるまでの日々と、これからの継続への思いをつづった。
各章の最後には、メルヘンハウスや哲さんと縁のあった関係者から寄せられたエッセーを収録した。寄稿者は、田島征三さん(絵本作家)、きたやまようこさん(絵本作家)、三輪テツヤさん(「スピッツ」ギタリスト)、沢野ひとしさん(画家・エッセイスト)、宮地健太郎さん(「古書ほうろう」店主)、鈴木潤さん(「メリーゴーランド京都」店長)、内沼晋太郎さん(ブックコーディネーター)、増田裕子さん・平田明子さん(音楽ユニット「ケロポンズ」)、安井素子さん(保育者)、増田喜昭さん(「メリーゴーランド」店主)。
丈太郎さんは「父の生き様や、メルヘンハウスが大切にしてきた理念を知ってもらうことで、書店のあり方について考え直すきっかけにつながると考えた。今の児童書業界に一石を投じる一冊になれば」と話す。
仕様は四六判、256ページ。価格は2,420円。発売を記念し、哲さんの命日である6月26日にトークイベントも開催予定。同書の制作協力者や編集者らと丈太郎さんが出演する。