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栄で映画「沖縄 うりずんの雨」舞台あいさつ  ユンカーマン監督が来名

来名したジャン・ユンカーマン監督。左は司会の小堀勝啓さん

来名したジャン・ユンカーマン監督。左は司会の小堀勝啓さん

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 栄の映画館「名演小劇場」(名古屋市東区東桜2)で8月9日、公開中の映画「沖縄 うりずんの雨」の舞台あいさつが行われ、ジャン・ユンカーマン監督が登壇した。

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 本作は沖縄の歴史と現状を取材したドキュメンタリー映画。沖縄の戦場に立った元米軍兵士や元日本軍兵士、現在の沖縄に暮らす住民らを取材。米国立公文書館所蔵の記録映像を交えて沖縄戦の実情を伝え、戦後の占領期から現在の基地問題に至る歴史を浮かび上がらせる。

 「うりずん」は「うるおい初め」が語源とされ、草木が芽吹く3月頃から梅雨に入る5月くらいまでの時期を指す言葉。悲惨な戦争体験をしたことで、一貫して戦争を拒絶している沖縄の人々の不屈の精神と、その思いの広がりを、緑が芽吹いていく季節に込めたという。

 ユンカーマン監督は米ミルウォーキー出身。1986年に「劫火-ヒロシマからの旅-」で米アカデミー賞記録映画部門にノミネート。以後、「映画 日本国憲法」、「老人と海」などを発表し、日米両国を拠点に活動している。沖縄には大学卒業後の1975年、ベトナム戦争への反戦運動をする兵士の支援活動のために初めて訪れた。6ヶ月にわたり滞在する中で、沖縄の姿を世界に伝えることを大きなテーマと考えるようになったという。

 上映終了後にユンカーマン監督が登壇すると、客席から大きな拍手。監督は「戦後70年がたっても、まだ米軍基地が沖縄に集中している。アメリカ人としての責任だと思い、この映画を作った」と話す。

 本作の英語タイトルは「The Afterburn(アフターバーン)」にした。「意味は炎が消えた後も火傷の痛みが続き、深くなっていくこと。沖縄戦を体験した人々はトラウマとともに生きてきて、それは今も続いている。基地が日常にあることによって痛みは過去にならず、ずっと続く。今現在起きていることは、昨日今日に起こったことではなく、ずっと繋がっている。70年の沖縄の歴史をずっとたどっていくことは、大きな意味があるはず」と語った。

 監督は会場からの質疑応答の時間を設け、「次世代に戦争をどう伝えたらよいのか」など、さまざまな質問に対して自らの思いを語った。その後、同館ロビーでサイン会を開催。映画の感想を聞くなど、一人一人と言葉を交わし、観客と触れ合った。

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