2028年に開催される国際芸術祭「あいち2028」の芸術監督に、スリランカ出身でシンガポール美術館チーフキュレーターを務めるシャビール・フセイン・ムスタファさんが就任した。ムスタファさんは8月13日、愛知芸術文化センター(名古屋市東区東桜1)で就任会見を行った。
愛知県内各地を舞台に行われる同芸術祭は、「あいちトリエンナーレ」の名称で2010(平成22)年から2019年まで3年ごとに開催。2022年から国際芸術祭「あいち」に名称を変更した。今回で7回目の開催となる。
ムスタファさんは、ベネチア・ビエンナーレのシンガポール館キュレーター、ダッカ・アート・サミット共同キュレーターなどを務め、アーティストやコミュニティーが活躍できる場の創造に携わってきた。2025年からは国際美術会議(CIMAM)理事も務めている。
国際芸術祭「あいち」組織委員会の大林剛郎会長は「キュレーターとしての豊富な経験や世界的な芸術祭などでの実績を持っている。これまでも、地域のコミュニティーや土地といったローカルな部分を重視して展覧会をキュレーションしてきた。この地域の歴史や文化、産業や伝統工芸などを掘り起こし、新たな視点での愛知の魅力向上、発信を期待している」と選任理由を述べた。
ムスタファさんは「15年ほどの間、何度も来日して、アーティスト、キュレーター、美術団体などと対話して関係を育んできた。この時間を通して、日本を一つの芸術の文脈だけではなく、多くの歴史や芸術的な実践、組織的なコミットメントを持つ地域として理解するようになった。その認識を持って愛知を訪れているが、より深く地域について学び始めたばかりとも思っている」と話す。
今回の芸術祭に向け、ムスタファさんは「愛知は考えるための素晴らしい場所。ものづくり、産業、工芸、テクノロジーの深い歴史がある。丁寧に人々の話に耳を傾け、アーティストたちと力を合わせ、国際芸術祭『あいち』のチームからも教わりながら、展示を具現化していきたい。今、切迫している目の前の多くの問いは、国境の枠組みだけで理解できるものではありません。この時代において、この芸術祭が、愛知から広く世界に意義深く発信できる場になることを願っている」と意気込みを語った。
芸術祭のコンセプトについては、今後数カ月の間に明らかにしていくという。