2008(平成20)年に休刊した夕刊紙「名古屋タイムズ」の元編集局長・鬼頭直基さんが10月7日、書籍「読み捨て夕刊紙記者の悪戦記 『名古屋タイムズ』私史」を風媒社(名古屋市中区大須1)から刊行した。
名古屋タイムズは、1946(昭和21)年に創刊し、2008(平成20)年に休刊するまで、60年以上にわたり名古屋の大衆文化の動向を報じ続けた地元夕刊紙。鬼頭さんは、1969(昭和44)年に入社し、編集局報道部記者として事件や行政などを担当。1998(平成10)年から2007(平成19)年まで編集局長を務めた。
同書は、鬼頭さんが取材・報道した記事の中から、印象的な事件、時代を映す出来事を約40件選び、当時の紙面を掲載。取材時の裏話や反響なども加え、大衆紙記者が見た名古屋の昭和・平成時代の世相や風景を振り返っている。
「名古屋タイムズ時代の事を本にまとめるのは初めて」という鬼頭さん。「もっと古い時代も知っている元記者の先輩から『名タイの歴史を残してはどうか』と言われたことが切っ掛け。長い歴史をたどる作業は難しく荷が重いが、自分が体感した時期の事は残せるかもと執筆に取り組んだ」と振り返る。
取り上げた題材は、全国で話題になった大事件から、人間くさい地域の事件まで、大衆紙ならではの多様な出来事が並ぶ。「スクラップした紙面や愛知県図書館のアーカイブなどから豊富な資料を集め、記者として忘れられない取材なども踏まえて、まとめていった」と鬼頭さん。
「昭和・平成という時代の社会の裏面、特に庶民の側の空気感が伝わる本になった。当時を知る人には、懐かしんでもらいつつ、読み捨て夕刊紙の記者が悪戦苦闘して書き記した庶民史、大衆側に立つ識者たちの残した言葉などを感じてほしい。若い世代には、年表や数字だけではない事物の手触りが分かる人間味のある記事に触れてみてほしい」と話す。
四六判、119ページ。価格は1,320円。
11月13日には、名駅西の「Nagoya BOOK CENTER(ナゴヤブックセンター)」(中村区椿町12)で出版記念講演会を開催する。19時開演。入場料1000円。