有給休暇は、働く人にとって身近な制度である一方、「何日付与されるのか」「取得した日の給与はどう計算されるのか」「パート・アルバイトでも取得できるのか」など、具体的なルールまで正しく理解している人は多くありません。特に、パート・アルバイトについては、有給休暇の対象となる条件を誤って認識しているケースもあります。
そこで、登録者数183万人超のYouTubeチャンネル『脱・税理士スガワラくん』を運営する税理士の菅原 由一は、全国の20歳以上60歳未満の会社員(正社員)、パート・アルバイトの男女それぞれ400名を対象に、「有給休暇に関する認識や理解度」を調査しました。
本リリースでは、調査結果とともに、「有給休暇の知られざるルールと正しい運用」をわかりやすく解説します。

調査期間:1.2026年10月16日、2.2026年10月19日
調査手法:1.2.ともにインターネット調査
調査対象:1.20歳以上60歳未満の会社員(正社員)の男女全国、2.20歳以上60歳未満のパート・アルバイトの男女全国
サンプル数:1.2.ともに各400名(10歳刻みに男女各50名の均等割付)
調査機関:Freeasy
※本リリースの調査結果をご利用いただく際は、「脱・税理士スガワラくん 調べ」と必ずご明記ください。
・有給は「労働者の権利」正社員の9割弱が認識
・正社員の7割弱が「有給のルール」を誤解
・正社員の6割弱が「有給で給与減」に納得できず
・パート・アルバイトの3割弱が「有給の存在すら知らず」
・パート・アルバイトの過半数が勤務条件や対象範囲を誤解
・パート・アルバイトの4割弱が「自分の有給残数がわからない」
まず、20歳以上60歳未満の会社員(正社員)に「有給休暇は、会社が任意で与えるものではなく、『法律で定められた労働者の権利』であることを知っているか?」と尋ねたところ、「内容まで知っている」(57.0%)、「なんとなく知っている」(30.0%)となり、9割弱(87.0%)が認識していました。一方、「知らない」も1割超(13.0%)となり、基本的な制度の位置づけを十分に理解していない会社員も一定数いることがわかりました。
「有給休暇について、これまで知らなかった・勘違いしていたことはあるか?」と尋ねたところ、最多は「取得した日の賃金に『複数の計算方法』があることを知らなかった」(27.3%)でした。次いで、「付与日数は会社が自由に決められると思っていた」(22.8%)、「取得するには会社の許可が必要だと思っていた」(22.3%)となりました。
一方、「特にない」と回答した人は3割超(32.0%)となり、7割弱(68.0%)が少なくとも一つの項目について「知らなかった・勘違いしていた」と回答しました。「有給休暇を法律上の権利」として知っていても、具体的なルールまでは十分に理解されていない実態が浮かび上がりました。
「有給休暇を取った日の給与が、通常の勤務日より少なくなる場合があることをどう思うか?」と尋ねたところ、「納得できない」(34.8%)、「どちらかといえば納得できない」(24.0%)となり、6割弱(58.8%)が否定的な回答でした。
有給休暇は「休んでも給与が支払われる制度」という認識が一般的ですが、実際の賃金計算では、通常の勤務日と同じ金額になるとは限りません。その賃金には一定の計算ルールがあります。制度への認識と実際の仕組みとの間に、ギャップがあることがうかがえました。
今度は、20歳以上60歳未満のパート・アルバイトに「パート・アルバイトにも条件次第で『有給休暇が発生する』ことを知っているか?」と尋ねたところ、「知っており、実際に取得している」(47.3%)、「知っているが、職場に言いにくく使っていない」(14.5%)となり、6割超(61.8%)が有給休暇の存在を認識していました。一方、「パート・アルバイトに有給があること自体知らなかった」は3割弱(27.3%)となりました。
また、「週5日勤務や正社員に近い人だけが対象だと思っていた」(6.8%)、「好きな日に休めるから有給はないと思っていた」(4.3%)など、有給休暇の対象について誤った認識を持つ人も一定数いることがわかりました。
「『パート・アルバイトの有給休暇』について、これまで知らなかった・勘違いしていたことはあるか?」と尋ねたところ、最多は「パート・アルバイトには有給がない」(23.5%)でした。次いで、「社員と同じ日数がもらえる」(15.5%)、「学生や短時間勤務だと有給はもらえない」(11.3%)、「社会保険に加入していないと有給はもらえない」(11.0%)となりました。
一方、「特にない」と回答した人は4割超(46.5%)にとどまり、過半数(53.5%)が少なくとも一つの項目について「知らなかった・勘違いしていた」と回答しました。パート・アルバイトにも有給休暇があることを知っていても、勤務日数や働き方、社会保険などの条件については、十分に理解されていない実態がうかがえました。
「勤務先から『有給の付与日数や残日数』の説明・通知はあるか?」と尋ねたところ、「説明された記憶がなく、自分の有給残数がわからない」(38.5%)が最多でした。「自分から聞かない限り、会社から教えてくれない」(14.5%)、「明細に記載はあるが、使い方の案内や説明はない」(12.0%)、「パート・アルバイトに有給はないと言われた」(4.8%)を合わせると、約7割(69.8%)が十分な説明・案内を受けているとは言いにくい状況でした。制度として有給休暇が認められていても、自分の付与日数や残日数を把握できていない実態が浮かび上がりました。
今回の調査では、有給休暇が「労働者の権利」であることは一定程度認識されている一方で、付与日数や取得時の賃金計算、パート・アルバイトの対象条件など、具体的なルールについては十分に理解されていない実態が明らかになりました。また、自分に何日付与されているのか、何日残っているのかを把握できていない人も少なくありません。
では、実際に有給休暇はどのような条件で付与され、取得した日の給与はどのように計算されるのでしょうか?さらに、パート・アルバイトにはどのようなルールが適用されるのでしょうか?今回の調査結果を踏まえ、有給休暇の基本的な仕組みや注意すべきポイントについて解説します。
●有給休暇は「労働者に認められた権利」
年次有給休暇(以下、有給)は、会社が福利厚生として任意で与えるものではなく、法律で定められた労働者の権利です。「忙しいから休めない」「会社が認めなければ取れない」と考えている人もいるかもしれませんが、会社が自由に与えるかどうかを決められるものではありません。
有給は原則として、
入社から6か月間継続して働き、その間の出勤率が8割以上であれば「10日」が付与されます。その後は勤務年数に応じて付与日数が増え、6年6か月以上勤めると年間「20日」が付与されます。
使い切れなかった有給は翌年に繰り越せますが、2年が経過すると時効で消滅してしまいます。そのため、繰り越した分を含めて保有できる有給は最大で「40日」となります。
●年5日の有給取得は「会社の義務」
有給は、付与されたものの使わないまま放置してよい制度ではありません。
現在、年間10日以上の有給が付与される労働者に対しては、
会社が年5日以上の有給を確実に取得させることが義務付けられています。もし本人の自主的な取得が5日に届かない場合は、会社側が日付を指定して取得させることも認められています。
なお、付与日数が年間10日未満の労働者はこの義務の対象外となりますが、対象外であっても有給を取る権利自体がなくなるわけではありません。
●パート・アルバイトも対象
有給は、正社員だけのものではありません。パートやアルバイトであっても、一定の条件を満たせば付与されます。正社員かパート・アルバイトか、社会保険の加入状況、扶養内勤務か、学生かどうかといった理由だけで、有給の権利がなくなることはありません。
ただし、付与される日数は一律ではなく、基本的には「週の所定労働日数」に応じて決まります。勤務日数が少なければ付与日数も少なくなりますが、一定以上働いている場合は、正社員と同じ日数が付与されるケースもあります。
また、「シフト制だから有給はない」という考え方も間違いです。シフト制であることと有給の権利は別の問題であり、シフト上の勤務日に有給を取得すれば、仕事を休みながら給与を受け取ることができます。
●有給を取った日の給料はどうなる?
有給を取得した日の給料は、会社からあらかじめ定めた計算方法によって支払われます。その方法は「通常の賃金」「平均賃金」「標準報酬日額」の3つのうちいずれかです。
「通常の賃金」で計算する場合は、その日に本来働いた場合と同じ金額が支払われます。一方、「平均賃金」で計算する場合は、かっこの直近3か月間の給与をもとに算出するため、普段働いた日よりも受け取る金額が少なくなることがあります。特に、勤務日数や時間が変動しやすいパート・アルバイトでは、こうした差が出やすくなります。
なお、平均賃金で計算して金額が低くなった場合でも「普段の賃金の6割」という最低保証ルールが存在します。そのため、「有給を取ると給料が6割に減ってしまう」と誤解されがちですが、決して全員が一律で6割に減額されているわけではありません。
また、この3つの計算方法を「通常の賃金」へ一本化する見直しが検討されています。もし今後制度が変われば、企業の給与計算や休暇管理の仕組みにも影響を与える可能性があります。
●有給はお金で買い取ればよいわけではない
「余った有給を会社に買い取ってほしい」と考える人もいるかもしれません。しかし、有給は本来、働く人がしっかり休日を取って体を休めるための制度です。そのため、買い取ることを前提にして休ませないでおく、といった対応は認められません。
会社側も「忙しくて休ませられないから買い取る」「お金を払うから問題ない」といった運用をするのではなく、従業員が実際に休暇を取れるような環境づくりに努める必要があります。
●まずは現在の運用を確認
有給をめぐっては、今後も取得を促す方向で制度の見直しが進む可能性があります。特に賃金の算定方法が変更されれば、企業の給与計算や人事管理にも影響が出るため注意が必要です。
だからこそ、制度の変更を待つだけでなく、企業側はまず現在の運用状況を確認しておくことが重要です。具体的には、「誰に何日の有給が付与されているか」「年5日の取得義務の対象者を適切に管理できているか」「取得した日の賃金はどう計算しているか」などを点検する必要があります。
一方、働く側にとっても、「自分に何日有給が付与されているのか」「どれくらい消化しているのか」を日頃から把握しておくことが大切です。
有給は、正社員だけの特権でも、会社の好意によるものでもありません。パートやアルバイトを含め、一定の条件を満たした労働者に法律上与えられた権利です。雇用形態による違いや取得時のルールを正しく理解し、会社と労働者の双方が適切に向き合っていくことが求められています。
1975年、三重県生まれ。東京都在住。お客様を黒字に導く節税と資金繰りの専門家。
2022年12月に開設したYouTubeチャンネル
『脱・税理士スガワラくん』は、登録者数183万人を突破。ブログ 『脱!税理士 菅原のお金を増やす経営術!』は全国税理士ブログランキング第1位を獲得し、アメブロ【公式】トップブロガーに選任。
講演実績は、Google、アパホテル、リコージャパン、ロバートキヨサキなど上場企業、外資系企業も含め1,000回を超え、各メディアからの取材も多数受ける。
書籍
『究極の資金繰り』『激レア資金繰りテクニック50』(共に幻冬舎)は、累計3.7万部のベストセラーとなる。2024年2月22日に
『タピオカ屋はどこへいったのか? 商売の始め方と儲け方がわかるビジネスのカラクリ』を発売。刊行から1年で累計発行部数13万部を突破。
ブログ:
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商号:株式会社スガワラくん
本社所在地:愛知県名古屋市中村区名駅南1-24-30 名古屋三井ビル本館7F
代表者:代表取締役 堀江 芳紀
設立年月日:2023年11月8日
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