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「あいちトリエンナーレ」開幕-79日間、34の国と地域から参加

愛知県美術館10階で行われた「太陽の結婚式」

愛知県美術館10階で行われた「太陽の結婚式」

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 愛知芸術文化センター(名古屋市東区東桜1)ほか県内各地で8月10日、3年に1度の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2013」が開幕した。

案内嬢パフォーマンス

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 会場は愛知芸術文化センター、名古屋市美術館や長者町、納屋橋などの名古屋市内各地と岡崎市。「揺れる大地-われわれはどこに立っているのか:場所、記憶、そして復活」をテーマに、10月27日までの79日間にわたり34の国と地域から122組のアーティストが参加して行われる。

 晴天となった初日は多くの来場者が各会場を訪れ、ベロタクシーなどで会場を移動して大規模な芸術祭を楽しんだ。愛知芸術文化センター2階では、やなぎみわさん作・演出の「案内嬢パフォーマンス」が上演され、多くの来場者が足を止めて観賞した。

 同センターでは、テーマに関連した象徴的な作品を中心として展開している。ヤノベケンジさんは東日本大震災後に希望のモニュメントとして発表した子どもの立像「サン・チャイルド No.2」を地下2階に展示。さらに10階の愛知県美術館にビートたけしさん原画のステンドグラスやマティスの版画を用いた「太陽の神殿」を実際に結婚式ができる空間として構築。開催初日には一組のカップルがアート作品に囲まれた「太陽の結婚式」を執り行い、夫婦となった。

 名古屋市美術館では、建物そのものを読み替えるアートが展開された。黒川紀章さん設計の代表的ポストモダン建築である同館を、ルイ・ヴィトン名古屋栄店などを手掛けた建築家・青木淳さんが再読し、空間や導線の一時的なリノベーションを試行。通常の北側正面玄関ではなく、南側から入館。導線も全く変わった空間の中で、アーティストたちの作品が展示している。

 チリ出身のアルフレッド・ジャーさんは廃校になる石巻市の中学校から黒板を譲り受け、2011年3月11日までに過ごした時間とその先の未来を人々に思い描いてもらうための作品「生ましめんかな(栗原貞子と石巻市の子供たちに捧ぐ)」を展示している。

 藤森照信さんは館外に宙に浮かぶ茶室「空飛ぶ泥船」を設置。たくさんの来場者が不思議な建築を体験している。

 長者町や納屋橋ではそれぞれの場所性を読み込んで街の記憶を喚起する作品を展開。横山裕一さんは長者町のビルの壁面やショーウインドーに漫画を描写。漫画世界と現実の都市風景をリンクさせ、街を読むアートを仕掛けた。ポルトガル出身のリゴ23さんは旧玉屋ビルの外壁を利用。1952(昭和27)年に名古屋で撮影された電線に立てかけられたはしごに登る労働者の写真をイメージして作品を制作。名古屋の戦後の復興と、変化に満ちた未来を表現した。納屋橋の会場は、元はボウリング場として建設された東陽倉庫テナントビル。

 イギリス出身のリチャード・ウイルソンさんは建物の外にボウリングのレーンが飛び出すダイナミックなインスタレーションで、同ビルの記憶を呼び戻すことに挑戦した。

 同芸術祭のもう一つの柱、パフォーミングアーツは舞台芸術と視覚造形美術を結ぶ作品、同芸術祭のテーマである「揺れる大地~」に沿った作品、サミュエル・ベケットにまつわる作品をラインアップ。開催初日に小ホールで上演されたオープニングアクトは、愛知県出身の柴幸男さんが率いる劇団「ままごと」の新作「日本の大人」。柴さんは名古屋に長期滞在して取り組み、子どもも大人も楽しめる作品を目指し舞台を創り上げた。

 2010年の第1回は57万人を超える来場者があった同芸術祭。愛知県は今回も50万人以上の来場者を想定している。今後のイベント予定、スケジュールは同芸術祭ホームページで随時発表される。

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