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「あいちトリエンナーレ」参加の山田亘さんが作品概要を発表

山田亘さん(右)と村田仁さん

山田亘さん(右)と村田仁さん

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 錦・長者町の「学書ビル」(名古屋市中区錦2)で6月10日、「あいちトリエンナーレ2016」国際展参加アーティストの山田亘さんがアートプロジェクト「大愛知なるへそ新聞」の概要を発表した。

「なるへそ新聞」アートプロジェクト

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 山田さんは名古屋市出身。写真をベースに多彩なメディアを活用した作品で、表現の可能性を問うアーティスト。アメリカでアートを学び、「クリエイティブ・デザインシティなごや2009」「あいちアートの森」やベルリンで行われた「DMYインターナショナルデザインフェスティバル」など、名古屋を拠点に国内外で精力的な活動を続けている。

 今回のトリエンナーレでは、名古屋、ベルリン、大阪市西成などで展開してきた「なるへそ新聞」アートプロジェクトを愛知県全体で展開する。同プロジェクトは、街に生きる人々の記憶を取材して、いろいろな時代に散らばった過去のさまざまな思い出や体験を、新聞記事の体裁で現在進行形の出来事として報道するもの。取材場所となる街で疑似的な新聞社を立ち上げ、記者希望者を募り、そこに住む人々から話を聞いて記事を執筆・編集。紙面を更新しながら発行・配布を続けていく。

 この日は同ビル1階に開設した「大愛知なるへそ新聞」準備編集部をお披露目。レトロな文房具などが並ぶ机の前に、ハンチング帽子とベストを身に着けた編集長姿の山田さんと副編集長を務める詩人の村田仁さんが登場。プロジェクトの概要を紹介した。

 山田さんは「なるへそ新聞は小さなワークショップとして名古屋で始めたのが最初。それを見たドイツのキュレーターから声を掛けられ、ベルリンで発表。その後、大阪で1年間かけて現地の方々と制作した。今までは歩いて回れる狭いエリアでやっていたが、今回は愛知県という広い範囲が対象。愛知在住や縁のある皆さんと共に、愛知に関わりのある人たちの思い出話を取材する。すごく大げさなことを報道していくのではなく、個人的なその人しか覚えていないような小さな出来事で、面白い話を拾っていきながら新聞を作っていきたい」と話す。

 「新聞は街であり、記憶の地図」と山田さん。「いろいろな記事が集まったごちゃごちゃしたレイアウトは、都市計画で作られたものとは違う、街区が集合した古い街のように見える。古い記事の場所は切り抜かれて空き地になっていき、そこに新しい記事が入っていく。写真は使わずに、手描きの文字と絵で作った記事を、切り抜いて、コピーして、切り張りして皆で作っていく」と作品のイメージを紹介する。

 編集部の活動日は毎週水曜・日曜。記者として参加する人はいずれかの日に編集部を訪れ、取材活動を進めていく。7月に第0号を印刷・配布。7月中旬ごろにトリエンナーレの展示会場の一つ、広小路ビルに同編集部を移転し、週1回程度のペースで発行していく。配布場所は同ビル内と豊橋、岡崎会場。期間中は編集部でのギャラリー展示、イベントも構想中だという。

 その後、山田さんは、専門である写真を使わない理由や、記者希望者の取材方法など、来場者からの質問に丁寧に回答。最後に「編集部を皆さんの遊び場として使っていただきたい。ふらっと遊びに寄って、気軽に新聞作りをのぞいたり、話をしたりしてもらえたら」と呼び掛けた。

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