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名古屋でパンク歌舞伎「逆夢」-能楽堂に「古事記」祝祭空間を演出

パンク歌舞伎「逆夢」を上演するハラプロジェクトとタートルアイランド

パンク歌舞伎「逆夢」を上演するハラプロジェクトとタートルアイランド

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 演劇集団「ハラプロジェクト」と音楽ユニット「TURTLE ISLAND(タートルアイランド)」が12月21日~24日、名古屋能楽堂(名古屋市中区三の丸1)でパンク歌舞伎「逆夢」を上演する。

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 ハラプロジェクトは役者、舞踊家で演出家の原智彦さんを中心に2005年に結成。農民の身体性を持つ日本の伝統に根差した演技作法を重視した「見世物芝居」を提唱し、精力的な演劇活動を行っている。今年は演劇が劇場から飛び出して町内を舞台にする回遊式芝居「大須HAIKAI劇場」を上演した。タートルアイランドは豊田市を中心に活動する楽団で、アジア人本来の個性、リズムを呼び覚ます音楽に取り組んでいる。和太鼓、しの笛などの和楽器やシタール、馬頭琴などアジア各地の楽器に加え、ギターやサックスなども取り込んだ多彩なサウンドを奏でる。

 パンク歌舞伎は、2010年から名古屋能楽堂で上演されているパンクロックと歌舞伎とシェイクスピア作品を組み合わせた舞台。「マクベス」「リア王」に続き、3回目となる今回はシェイクスピアではなく「古事記」を題材にした。原さんは「最初はシェイクスピア作品と天岩戸伝説を合わせようと考えていた。しかしあらためて古事記に目を通してみると、内容の面白さに引き付けられた。結局、全て古事記でいくことになった」と話す。

 原さんの感じた古事記の魅力は、人間より人間くさい神々の生命の躍動に満ちた物語。「選んだのは国生みから天岩戸までで、古事記の10分の1くらい。物語は原典にほぼ忠実だが、表現の仕方が違うものになっている。逆夢というタイトルに込めたのは、夢の通り、思い通りにならない現実。男と女、親と子など、現代にある問題にもつながる作品。いつの時代も、人間は変わらず滑稽(こっけい)でいとおしい存在。古事記の神々もそう。むしろ今の人より純粋で、あどけない」

 古事記の世界を彩っていた音や踊りに思いをはせたという原さん。「古事記を読みながら、楽しげに舞い遊ぶ神楽舞(神に奉納するため歌舞)の世界にたどり着いた。そして日本中に星の数ほどあるお祭りのことに思いが飛んだ。音楽と踊りははるか昔からあり、人から人へ伝わってきた。今回の舞台では新しい神楽舞を作り上げて披露する。時代は変わり、使う楽器は変わったが、現代に合った舞を見せたい」

 最後に原さんは「内容を決めてから知ったが、今年は古事記編さんから1300年の記念の年。何かに導かれたような気がする。僕の演劇の原点は祝祭劇であること。過去2回を見た方も、いい意味で裏切れるような舞台にしたい」と意気込みを語り、多くの来場を呼び掛けた。

 21日~23日は14時、19時、24日は14時開演。入場料は一般3,800円、学生2,000円(当日券は500円増)。

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