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「あいちトリエンナーレ2016」出展作家がプロジェクト発表 服の寄贈呼び掛け

西尾美也さん(左)と辻琢磨さん

西尾美也さん(左)と辻琢磨さん

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 丸の内の「アートラボあいち大津橋」(名古屋市中区丸の内3)で6月25日、「あいちトリエンナーレ2016」参加アーティストの西尾美也さん、403architecture [dajiba]の辻琢磨さんがプロジェクト「パブローブ」説明会を開催した。

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 西尾さんは奈良県を拠点に、装う行為とコミュニケーションの関係性に着目して市民との協働によるプロジェクトを国内外で展開している。世界のさまざまな都市で見ず知らずの通行人と衣服を交換する「Self Select」や、数十年前の家族写真を同じ場所と装い、メンバーで再現制作する「家族の制服」、世界各地の巨大な喪失物を古着のパッチワークで再建する「Overall」など、精力的にプロジェクトを発表している。

 辻さんは2011年に彌田徹さん、橋本健史さんと共に設計事務所403architecture [dajiba]を設立。静岡県浜松市を拠点に、半径数キロメートル以内のネットワークでの密なコミュニケーションを軸にしながら、ショップや住居などさまざまな物件でその場所に根ざした独自のリノベーションを手掛けている。今年の「第15回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展」日本館の展示に参加し、特別表彰を受賞。

 説明会ではそれぞれの活動や作品の様子をスライドで紹介。今回のトリエンナーレで展開するプロジェクト「パブローブ」を解説した。プロジェクト名のパブローブは、パブリックとワードローブの造語。一般から服を募集して愛知県美術館のギャラリーに展示し、貸し出し、リメーク、イベントなどさまざまな活動を展開する。服の図書館のような、トリエンナーレ来場者の誰もが利用できる公共のワードローブとして、服を介した新しいコミュニケーションの場を実践していく。

 西尾さんは「ケニアに滞在していた時、商人が半屋外のマーケットに陳列していた大量の服がアートのように美しかったことから着想を得た。日本では利便性が求められ、手に取りやすく展示して店員が畳んでくれる。ケニアでは全ての商品が広がって展示されて、とても活気のある風景だった。この時に感じた活力を引用して、身近な服を大規模に展示するプロジェクトを構想した。展示されている服は試着することも、借りていくことも可能で、期間中はワークショップ、ファッションショーなどさまざまな企画を行いたい」と話す。

 辻さんは「ハンガーラックを使って空間を作り、通常とは違う陳列の仕方をする。天井や壁を利用して、手の届くところにも届かないところにも服を広げ、Y字棒を使って移動させるような展示をイメージしている」と話す。

 同プロジェクトは現在、作品を一緒に作るメンバーを募集中。作品に使う服の寄贈も併せて募っている。今後、プロジェクト説明会を7月16日、服の寄贈受付を同9日・10日・16日・17日に開催する。会場はともにアートラボあいち大津橋2階。

 辻さんは「誰もやったことがないコンセプトの作品なので、社会実験に近いところもある。服が集まるのかどうか、会場で来場者が着替えるのかどうか。どんな形になっても実験としては成立するが、選択肢は多い方がいい。プロジェクトメンバーも服の寄贈も、面白い実験に参加するという意識で集まってくれると、皆が楽しめると思う」と魅力を紹介。西尾さんは「服は誰に対しても開かれているもの。子どもも大人も、服が好きな人も嫌いな人も、いろいろな関わり方ができる。それぞれの興味を持った切り口で参加してもらえたら」と呼び掛けた。

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