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松坂屋名古屋店で約200年前の浴衣展示 柄や素材で歴史の移り変わり追う

伊勢エビやフグなどが網にかかった様子を表現したデザインの木綿地の浴衣「白木綿地 大漁模様」(手前)など4点を展示する「松坂屋コレクション 2022 -YUKATA- ゆかた展」

伊勢エビやフグなどが網にかかった様子を表現したデザインの木綿地の浴衣「白木綿地 大漁模様」(手前)など4点を展示する「松坂屋コレクション 2022 -YUKATA- ゆかた展」

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 江戸時代後期を中心に「湯帷子(ゆかたびら)」や浴衣を展示する「松坂屋コレクション 2022 -YUKATA- ゆかた展」が5月27日、「松坂屋名古屋店」(名古屋市中区栄3)南館7階の「松坂屋史料室」で始まった。

亀の絵柄がかわいい「浅葱木綿地 亀甲模様」

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 「松坂屋コレクション」は、「J.フロント リテイリング史料館」が所蔵する江戸時代以前に作られた小袖、帷子(かたびら)などの時代衣装や能面などのコレクションの総称。1931(昭和6)年~1939(昭和14)年の9年間に、松坂屋のデザイナーの呉服デザインの参考にする目的で、全国のコレクターから収集した。現在、国の重要文化財指定の衣装を含む約1500点を持つ。

同企画を担当するJ.フロント リテイリング史料館の竹崎恵さんによると、江戸初期まで上流武家の人々はサウナのような蒸し風呂を利用しており、その際に肌着として「湯帷子」を身に着けていたという。湯帷子は浴衣の語源といわれている。「江戸中期に現在のような湯に浸かる入浴形式が主流になると、肌着だったものが、湯屋での夕涼みや蛍狩りにも着るようになり、次第に浴後の歓談で柄を見せ合うようになり、大きい柄のものが出てくるようになった。後期にはより装飾的なデザインが増え、夏祭りや花火などに着ていき歩く姿を見せる目的も出てきた」と説明する。

 展示内容は前期・後期で変える。前期の現在は、全面に網目模様を施し、伊勢エビやフグなどが網にかかった様子を表現したデザインの木綿地の浴衣「白木綿地 大漁模様」、「立湧(たてわく)模様」と「肥前松浦家」の家紋の「三つ星」と「立ち梶葉」の同じ柄で、「主流だった麻から、江戸中期に中国から入ってきた綿に変わった様子が見比べられる」(竹崎さん)という素材違いの「白麻地 立湧定紋入模様」「白木綿地 立湧定紋入模様」、「亀の絵柄がかわいく、朱色のデザインが目を引く」(同)という「浅葱(あさぎ)木綿地 亀甲模様」の4点を展示する。いずれも江戸後期のもの。「蒸し風呂で蒸気を逃さないように作られた筒袖など、仕立ての違いも見られる」とも。

 「流行りの小袖模様」などを描いた「雛(ひな)形本」も展示。「江戸のスタイルブックといえるのが雛形本。絵柄の見本を見て、デザインのアレンジを指定することも行われたといわれる」(同)。1928(昭和3)年創刊の名古屋店PR誌やなどに掲載されている当時の浴衣の紹介ページや、1963(昭和38)年・1964(昭和39)年発行のPR誌で紹介した同店オリジナルデザインの「まんがゆかた」の紹介ページもパネル展示する。

 「本館8階で展開中の現代の浴衣と、約200年前の浴衣を見比べてもらえれば。遊び心や、柄の持つ意味、湯帷子から浴衣への移り変わりなどを知って楽しんでほしい」と竹崎さん。後期展示では、初公開の楼閣庭園を描いたものや、厳島・天橋立・松島の日本三景を描いたものなどを展示する。

 営業時間は10時~19時。入場無料。展示期間は、前期=7月14日まで、後期=7月16日~8月22日。

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